「精神障害者」であることを受け入れる難しさ

精神障害者手帳
kagumama
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個人の所感です

自分はニセモノの「精神障害者」と思っていた30代

私が精神科に通いだしたのは35歳の頃です
きっかけはある手術の後遺症として希死念慮が止まらなくなったからです

自傷行為がひどくなり、ひどいときには首に切り傷をたくさん作っていました
そんな様子でも会社に通っていたので、周囲の人とも距離が出てくるように

さすがに自分でも「まずい・・」と思い、少しでも楽になるならとクリニックに通うようになりました

10代半ばから生きづらさや周囲との違和感、人間関係の難しさ、感情のコントロールの難しさなど
モヤモヤしたものを抱えていたので、精神科に通うことでその「原因」を「病気」と結びつけることができたと思います

「イライラ」「落ち込み」「感情の爆発」などはすべて「気のせい、自分のせい、自分が至らないからだ」と
昭和の根性論で自分を縛っていたのです

現在では「うつ病は危険な病気」と警鐘されていますが、昔は「気の持ちよう」という人が多かったと思います
うつの症状などが世間に知られるようになり、いちはやく「うつ病」に気づける時代になってよかった

それからは病院を変えてはいるものの通院は続けています
何度か通院を止めて苦しくなったことがあり、後悔しているからです

基準がわからない「精神障害者手帳」等級

精神科への通院をしているものの、精神障害者に対する福祉制度については全く知りませんでした

当時はインターネットが家庭にも普及し始めたころでしたが、情報は少なく簡単には収集できなかったのです
ちゃんとした病院だったらケアワーカーさんや医師が教えてくれるのかもしれませんが
私が通っていた病院では何も教えてくれず「お仕事大変だけど、働けてますね」と言われるだけ

外から救いの手が差し伸べられるまでには「生活が破綻する」必要があるのだな、と感じていました

しかし、自己負担3割の保険適用でも1回の通院で3000円ほどかかってしまいます

月に3回通院すると1万円近くかかります
通院するために働く、矛盾しか感じられなくなりました

何か手段が無いかと調べ、「精神障害者手帳」と「自立支援医療制度」にたどり着き、医師に相談
障害者手帳と自立支援は通院の期間をクリアしていれば取得は難しくありません

医師は「そうですね、経済的に楽になれる制度はどんどん使いましょう」と協力してくれました

結果「うつ病で精神障害者等級3級」の手帳と自立支援医療制度を受けることに
通院の費用が1割になったことで負担が少し減りました

障害者手帳を見せるだけで映画館の入場料が1000円になることに驚いたものです
趣味が映画鑑賞なので、とても嬉しいと感じる反面「なんで映画や美術館が割引になるんだろう?」と思っていましたが

精神障害者手帳の等級の基準は医師の診断で決まるようですが
症状や感覚は自分の口で医師に伝えなくてはなりません

当時の自分は「症状がひどく聞こえるように嘘を言った」ような感覚になっていました
こうのように感じる患者さんは多いそうです

「自分は精神障害者」と家族に言えない葛藤

私は実家から離れて暮らしているため、家族は精神科に通っていることを知りませんでした

元々「性格が暗い」「内向的」「おとなしい」などの印象を家族に持たれていたので
辛さを訴えても「性格的なもの」と言い聞かされていたのです

一人暮らしで症状が出ると苦しくてたまりませんでした
今のようにSNSが発達しているわけでもなかったため、訴えるのは友人か家族ぐらいです

正直「いのちの電話」も何度か利用しましたが、通話料がかかるだけで何も楽になれませんでした
苦しいことを訴えながらも通話時間と共に増える通話料が気になって仕方ないのです

同じような感覚で「いのちの電話」の利用を控えてしまう人は多いと思います

話がそれましたが、辛さから母親に電話し、「助けてほしい」と訴えましたが
理解ができてなかった母親からは「私は何もしてあげられない、できることが無い」との返事

このタイミングで精神科に通っていることを話し、知識を持ってほしいと伝えました

それ以降、母も調べたりしたらしく「うつ病」に対して理解を持ってくれるようになりました
しかし「障害者」という言葉に偏見を持つ父親には母も伝えなかったようです

「病は気から!」「薬は毒!」無理解な周囲の声

仕事をしながら通院をしていると、どうしても遅刻や欠勤(有給休暇)などが増え申し訳ない気持ちになってしまいました

気心が知れた・・と思っていた同じ部署の人に事情を話すと「そんなにくよくよしたってしょうがないよ!」や
「薬に頼ると副作用があるんじゃない?」など理解がない言葉を受けることに

やはり精神の病気は理解できない人には理解できないのかな?
そう思うようになりました

「悪いのは自分」の無限ループ

仕事を休みがち、遅刻・早退が多くなり周囲からの目もつらくなってきました

病院に通って、病気と診断されているにも関わらず
「自分が悪い!迷惑をかけてばっかりだ!」と思い込むようになりました

同時に仕事でもミスが増え、自分が辛くなり退職してしまいました

年齢と共に助けを求めることができるように

それから10年近く経ちましたが、やっと自分が「精神障害」を持つ人間なのだ、と思えるようになりました

精神障害(うつ・双極など)を持つ場合、他の人に比べ体力・気力などにハンディがあるのだ、と理解しました
そして自分自身がそうなのだ、とやっと受け入れることができました

年齢的にも体力が落ちたので、「無理だ!」とあきらめることができたのかもしれません

自分に無理して自分もつらい、他人も負担となるよりは「助けを求める」のが双方にとっていいことなのだ、と理解したのです

障害年金受給で気持ちが楽になる

私は今年(2020年)の5月から障害年金を受給しています

審査に通ったのも「年齢的に先は厳しいね」という判断かもしれません
就職でも「45歳以上または障害を持つ就労困難者」に判定されるのですから

確かに転職活動を行っても正社員採用は難しかったです
下手なところは面接時に「ぼろくそ」に言われました

さすがに「無理だ」とあきらめました
ならば国助に助けを求めようと思い相談・申請しました

結果、とても気持ちが楽になり生活も通常?くらいのレベルで行えるように

まとめ

精神障害者手帳など、メリットがあるのに自分を「障害者」と思うことが嫌で受け入れない人が多いと聞きました

しかし、使える福祉制度は使っていいと思います
特に「仕事をしていてうつになった」など納める税金を払ってきた人はその権利を主張するべきです

自分が働いてた時に収めた税金はほかの誰かを助けていたのです

誰がいつ、病気になるか分からないのです
頼れる制度はどんどん使うのがいいと思います